さば 雲

友がひとりまた一人消えて思い出だけ残る。過ぎてしまえばこの世は残り少なく、今頃ひとりじたばたしている 。

ショックドクトリン ?

  通勤ラッシュ 油絵 F60 1977年作


「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?


 ◆堤未果のショック・ドクトリン政府のやりたい放題から身を守る方法(本の紹介文)より
 
 21世紀のショック・ドクトリンの最大の特徴は、敵の顔が見えないことです。見えないだけでなく、限りなく増殖していき、今日の味方が明日の敵にもなる。すべてはお金で動いていくので、敵の顔が見えたと思っても、それはどんどん変わり、複雑に絡み合うので、追いきれません。
「ショック・ドクトリン」に出てくる多くの事例が示すように、〝犯人探し〟をしたくなる私たちの本能は常に、国民を分断し、撹乱し、戦うべき相手を見誤るよう、利用されてきました。
 それらを読むと、今世界規模で起きている数々のショックの下でも、同じように情報が狭められ、対立を煽られ、人々が分断されていることに気づくでしょう。
 事物を深く、長く、広く見る力を失い、自分の頭で考えることを放棄してしまった時こそ、ショック・ドクトリンは牙を剥き、私たちはいとも簡単に餌食にされてしまうのです。
 相手は人間ではなく、果てしなき欲望を現実化するための「方法論」に他なりません。
武器はたった一つ、事物を俯瞰して眺め、本質をすくい上げる、人間の「知性」なのです。


 ◆NHK100分de名著 ナオミ・クライン「ショックドクトリン」より