さば 雲

友がひとりまた一人消えて思い出だけ残る。過ぎてしまえばこの世は残り少なく、今頃ひとりじたばたしている 。

愚か者

 老 木(リメイク作)

  水彩+ アクリル+ パソコン


 人類は文明を作り上げ、石炭や石油などの化石燃料を燃やして大気中の酸素を消費し、二酸化炭素の濃度を上昇させています。そして人類が放出したフロンガスは、オゾン層を破壊し、遮られていた紫外線は再び、地表に降り注ぎつつあるのです。
 まるで人類は、植物が改変してしまった緑の地球を、生命誕生以前の惑星に戻そうとしているかのようです。それだけでなく、植物が群がった森林を破壊し、不毛の砂漠を広げています。植物が作りだす酸素の供給を絶とうとしているのです。
 もし、宇宙人が地球を観測しているとしたら、人類のことをどう思うでしょうか。自分たちが生きられないような古代の地球環境を取り戻そうとするけなげな存在だと思うでしょうか。
 それとも、自分たちが生まれた緑の惑星を破壊する愚か者だと思うでしょうか。


   ◆稲垣栄洋著「面白くて眠れなくなる植物学」より

リサイクル

 スクラップ Ⅳ「壊れた部品たち」

 水彩+ 色鉛筆+ アクリル  21.5ⅹ 32 cm(未完)


 私たちは命が尽きたら荼毘に付され、体を構成していた酸素や炭素、水素、窒素などは気体となって地球にばらまかれ、そのうち他の生物などに取りこまれながら、どこかでリサイクルされていく。
 原子は核融合や核分裂が起こると別の原子になるので、原子の種類は変わっていくが、原子をつくっている大本は変わらない。たとえ核爆弾で多量の放射能を浴び、分子や原子の結びつきが壊れても原子核の中にある陽子や中性子が壊れることはない。つまり不老不死なのだ。
 だから、今私たちの体を作っている原子や陽子・中性子、クォークにも壮大な歴史があり、元をたどれば宇宙のどこか、太陽系のどこかを漂っていたはずだ。恐竜の体の中にいた時期があったかもしれないし、海底にひっそりと沈む岩の一部だったかもしれない。
 ただし、その歴史をひも解くことはできない。今目の前にある原子がどんな変遷をたどってきたのかという情報は、一切刻み込まれていない。世の中にあるクォークや電子といった素粒子は、すべて同じ性質をもっている。無個性だ。見分けることはできないのだから、その変遷をたどることもできない。
 しかし、宇宙ができた頃に漂っていたクォークが太陽系のなかをさまよいながら地球にやってきて、なんの縁か、私たちの体を構成する一部となり、そして死後もどこかでリサイクルされていくと考えると、感慨深いものがある。


 ◆松原隆彦著「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」より 


 ※いつも見てくれて本当にありがとうございます。
 遅くなりましたが、今年もまたよろしくお願いします。
 椎名。

奇 跡

 コスモス Ⅱ(イメージ)

 水彩+ 色鉛筆   21.5ⅹ 30 cm


 なぜ一日一回変わらずにも回り続けているのだろうか。それは、宇宙には摩擦がないからだ。(中略)
 真空の宇宙では摩擦がないため、一度回転したものは永遠に回転し続ける。一度打ち上げて軌道に乗った人工衛星が燃料を追加しなくても地球のまわりを同じ速度で回り続けていられるのも、同じ理由だ。
 地球の自転は、24時間に一周だから、赤道付近では一日に4万時ロメートルほどのスピードで動いている。このスピードが速いか遅いかはさておき、24時間で1回転というスピードも、実は月が関係している。
    月ができたのは、今から45億5000万年ほど前のことだ。その頃の地球はまだ小天体との衝突を繰り返していて、あるとき火星ほどの大きさの天体と衝突した。そのときに斜めにぶつかられたため、その衝撃で大量の岩石が宇宙空間に放り出され、それがやがてひとつに集まって月になったと考えられている。(中略)
 また、月ができる前の地球は、もっと速いスピードで自転していた。5~8時間で1回転していたと考えられており、つまりは、1日は24時間ではなく、5~8時間だった。月ができ、月の力が地球の自転を遅らせる方向で及ぶため、24時間周期になった。
 もしも火星大の天体が原始の地球に衝突せず、もしも月が生まれていなかったなら、私たちの生きる世界はもっとせわしないものになっていただろう。というよりも、私たちは生まれていなかったかもしれない。


 ◆「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」より 


 人生には、二つの道しかない。
一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。
もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ。


  ★アルバート・アインシュタイン(1879~1955)

生 命

   コスモス(イメージ)

 水彩+ 色鉛筆  21.5ⅹ27.5 cm    


  宇宙ができたのは今から138億年前のことである。宇宙ができてから地球上に生命が登場するまでには100億年近くの時間がある。宇宙のどこかで生命が誕生し、地球に降り注ぎ、地球で進化したと考えたほうが、時間的にもつじつまが合うだろうという説も有力だ。
 なおかつ、人間が生きられる環境は限られているものの、原始的生物であれば地球上のありとあらゆるところで生きることが可能だ。であるなら、宇宙空間で生き延びることも可能だろう。
 そして、生命のもととなったものが宇宙空間に存在しているのなら、地球だけを狙って降り注いだとは考えにくい。ほかのありとあらゆる星にも生命のもとが降り注いだはずだ。ということは、ほかの星でも地球と同じように水のある環境があれば、そこで増殖し、進化した生命がいてもまたおかしくはない。  


◆「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」より