ヒガンバナ Ⅲ
秋桜、彼岸花、蝶、 …
水彩+ 色鉛筆 21.5ⅹ 27.5 cm
転生をくりかえしてゆかねばならぬ魂はまだ迷える哀れな魂なのでありましょうけれど、輪廻転生の教えほど豊かな夢を織りこんだおとぎばなしはこの世にないと私には思われます。
昔の聖者達にいたしましても、近頃の心理学者達にいたしましても、人間の霊魂のことを考えました人達は、たいてい人間の魂ばかりを尊んで、ほかの動物や植物をさげすんでおります。人間は何千年もかかって、人間と自然界の万物とをいろいろな意味で区別しようとする方へばかり、盲滅法に歩いて来たのであります。
……けれども科学者は物質を造るもとともいうべきものを細かくたずねてゆけばゆくほど、そのものは万物の間を流転すると知らねばならなくなったではありませんか。
魂という言葉は天地万物を流れる力の一つの形容詞に過ぎないのではありますまいか。
☆川端康成「抒情歌」より
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