さば 雲

友がひとりまた一人消えて思い出だけ残る。過ぎてしまえばこの世は残り少なく、今頃ひとりじたばたしている 。

ヒガンバナ Ⅱ

 彼岸花の群(イメージ)

 水彩+ 色鉛筆   22 x 27.5 cm


朝がくると
わたしとそよ風は手をたずさえて
光来たれり、と宣言する。
夕には鳥たちと私は光に別れを告げる。


わたしは野の上にゆれ動き
その飾りとなる。
わたしの香りを大気にただよわせ、
夜のあまたの眼はわたしをじっと見守る。
わたしは梅雨に酔いしれ
つぐみの歌に耳を傾ける。
叫ぶ草たちのリズムにあわせて踊り、
光を見るために天を仰ぐけれど、
それは自分の像(イメジ)をそこに見るためではない。
この知恵を人間はまだ学んでいない。


 ※「花のうた」抜粋
☆神谷美恵子「ハーリル・ジブラーンの歌」より