さば 雲

友がひとりまた一人消えて思い出だけ残る。過ぎてしまえばこの世は残り少なく、今頃ひとりじたばたしている 。

ヒガンバナ

 彼岸花の思い出(イメージ)

 水彩+ 色鉛筆    24 x 19 cm


 世の中を思へばなべて散る花の わが身をさてもいづちかもせん
(世の中のことを思うとすべて散る花である。ほかならぬこのわが身もそうなのだが、それにしてもわが身はいったいどこへ行くのであろうか)


 行方なく月に心の澄み澄みて 果てはいかにかならんとす
(月を見ていると私の心は澄みに澄む。このままどこまで澄んでいくのだろ。私は一体どうなってしまうのだろうか)


 ☆西 行(1118~90)歌人


 この世に楽しくあらば来む世には 虫に鳥にも我はなりなむ
(この世が楽しいことであれば、来世、虫になろうが鳥になろうがかまいはしない)


 ☆大伴旅人(665~731)歌人


◇竹内整一「 ありてなければ 無常の日本精神史」から