犠 牲
アスファルト、蟹…
色鉛筆 210ⅹ215 ㎜ リメイク作品
私のスイス留学中の師だったマイヤー先生が、七十歳すぎてファゴットの練習をしておられるのを見て感心すると、「この年になっても何か進歩するということがあるのは、ありがたいことだ」と言われた。
年老いても何か進歩する、というのは味わい深い言葉だと思った。「もうこの年になって……」などと言わず、勇気をもって始めることだ。
考えてみると、「死」も新しい次の世界のはじまりなのかも知れないのだから、老いたからといって「終わり」のことばかり考えず、「はじめ」の練習もある程度しておいたほうが「死」も迎えやすい気もするだが。
■河合隼雄「老いるとはどういうことか」講談社α文庫より
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。