さば 雲

友がひとりまた一人消えて思い出だけ残る。過ぎてしまえばこの世は残り少なく、今頃ひとりじたばたしている 。

無 題

 鹿(ウエブで見た画像から)

 水 彩     157ⅹ 246 mm


鹿は 森のはずれの
夕日の中に じっと立っていた
彼は知っていた
小さい額が狙われているのを
けれども 彼に
どうすることが出来ただろう
彼は すんなり立って
村の方を見ていた


生きる時間が黄金のように光る


彼の棲家である
大きい森の夜を背景にして


◆村野 四郎(1901~1975)詩人
※ 詩「 鹿 」