咆 哮
荒海によるイメージ
透明水彩+ アクリル 21.5x27.5 cm
西行の歌には諸行無常の思想がある、一切空の思想がある。(中略)一切を空だと承知した歌人は、当時沢山いただろうが、空を観ずる力量にはピンからキリまであって、その力量のほどは、歌という形にはっきり現れるからごまかしが利かぬ。
空の問題にどれほど深入りしているかを自他に証するためには、自分の空を創り出して見なければならぬ。こうなると、問題は、尋常の思想の問題とは自ら異なったものになるはずである。
★小林秀雄「私の人生観」より
……如何にして歌を作ろうかという悩みに身も細る思いをしていた平安末期の歌壇に、如何にして己を知ろうかという殆ど歌にもならぬ悩みを掲げて西行は登場したのである。
彼の悩みは専門歌道の上にあったのではない。
陰謀、戦乱、火災、飢饉、悪疫、地震、洪水、の問いにいかに処すべきかを思った正直な一人の人間の荒々しい悩みであった。
★小林秀雄「西行」より
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