さば 雲

友がひとりまた一人消えて思い出だけ残る。過ぎてしまえばこの世は残り少なく、今頃ひとりじたばたしている 。

  静かな雨(水滴に映る光のイメージ)

  水彩 + ガッシュ  113 ⅹ 167 ㎜


世界が私を愛してくれるので    
(むごい仕方でまた時にやさしい仕方で)
私はいつまでも独りでいられる             
私に始めてひとりのひとが与えられた時にも
私はただ世界の物音ばかりを聴いていた
私には単純な悲しみと喜びだけが明らかだ
私はいつも世界のものだから


空に樹にひとに
私は自らを投げかける
やがて世界の豊かさそのものとなるために


■谷川俊太郎「六十二のソネット」より 62


※昨年中はご高覧いただきありがとうございました。
 今年もよろしくお願いします。